「ブレイン メンタル 強化大全」の教えを実践してみた

今回実践するのは、精神科医でユーチューバーの樺沢紫苑氏の著作「ブレイン メンタル 強化大全」<サンクチュアリ出版>に記載の教えです。

本書の教え

  • 心と身体を整えて、病気のリスクを下げながら脳のパフォーマンスを高めよう

本書のポイント

本書には、精神科医である著者が30年の経験と知識、数百冊の本と膨大な数の論文から導き出し、自らを実験台にして試行錯誤した結果生まれた「心と身体を徹底的に整える」ための方法が記載されています。

本書は、「脳のパフォーマンスを高め、より仕事や勉強ができるようになる」及び「身体疾患とメンタル疾患を予防し、病気にかかることなく長生きする」の2つを目的としています。

著者は本書を「健康戦略辞典」や「究極の健康本」として活用されることを望んでいます。

心と身体を整えて「絶好調」

病気にならないことはもちろん、その上の絶好調(ウェルビーイング)を目指し、「睡眠」「運動」「食事」「禁煙」「節酒」「ストレス発散」の6つの生活習慣改善を行うための100の方法を、①睡眠、②運動、③朝散歩、④生活習慣、⑤休息という章に分けて記載しています。

以下、①から⑤の中で、オネストがポイントと考えた事項について記載します。

①睡眠

睡眠時間は7~8時間は必要となります。睡眠時間を削ると寿命が縮まるだけでなく、脳機能が低下して仕事のパフォーマンスも下がります。さらに太ります

寝る前の2時間はリラックスのゴールデンタイムです。この時間はブルーライトを浴びないようにし、飲酒・食事、興奮するような娯楽は控えましょう。

②運動

運動には、うつ病や認知法の予防、 睡眠の改善、感情の安定化、脳内物質の調整などの効果があります。週2時間以上の運動量が効果的です。

ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動、筋トレやダッシュなどの無酸素運動の両方を行うことが重要となります。無酸素運動(筋トレ)を先にやり、有酸素運動は後に行うのが効果的です。ランニングは月200キロを超えると健康に悪く、月120キロ程度が健康的な走行距離です。

③朝散歩

朝散歩とは起床後1時間以内に行う、15~30分の散歩のことです。朝散歩により、心と身体を整える脳内物質であるセロトニンを活性化し、骨を丈夫にするビタミンDを生成し、体内時計をリセットすることができます。

④生活習慣

科学的根拠のある健康な食べ物を科学的根拠のある健康な食べ方で食べることが望まれます。

健康的な食べ物:『「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の教えを実践してみた』でご紹介したものとほぼ同じ内容です。

喫煙は病気になるリスクを軒並み上昇させます。

⑤休息

自然の風景をみたり、自然の中を歩くとストレスホルモンは低下します。

気のおけない人と談笑、笑い話をすることはよいが、「悪口」はストレスを発散にはならず、逆に免疫力を下げて病気のリスクをあげます。笑うと、頭が良くなり、寿命も延びます。

本書では、生活習慣の改善方法がまだまだたくさん実践しやすいよう具体的に記載されています。本書の教えを実践して仕事のパフォーマンスの向上と病気リスクの低減を同時に実現していきたいですね。

やってみたこと

  1. 睡眠:可能な限り就寝前2時間以内に食事や飲酒を行わないようにしました。
  2. 運動:趣味で週2時間以上ランニングを行っています。『「LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義」の教えを実践してみた』でご紹介したように上半身の筋肉が落ちてきたので、ランニング前に上半身の筋トレを行うようにしました。
  3. 朝散歩:朝散歩は実践できていません。
  4. 生活習慣:『「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の教えを実践してみた』でご紹介したように、日常的に玄米食、リンゴ、ナッツの摂取を行っています。
  5. 休息:昼食後に緑のある公園を15~30分散歩するようにしました。

やってみてわかったこと

  1. 睡眠:就寝前2時間以内の食事や飲酒の制限はやりはじめてからまだそれほど経っていないので睡眠に対する効果のほどはまだ実感できていません。ただし、朝起きて、胃もたれになっているような状態はなくなりました。
  2. 運動:ランニングによって睡眠、ストレス軽減、疲労回復、ダイエットの効果は得られています。とくに精神的な疲労も和らぐので入眠もスムーズです。
  3. 朝散歩:-
  4. 生活習慣:『「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の教えを実践してみた』でご紹介したように、体重が減少し、体調も良くなったと感じています。
  5. 休息:散歩によって気分転換となりストレスが発散され、眠気がでることもなく午後は仕事に集中できています。
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もし、皆さんも本書の教えを実践し効果等あった場合にはコメントいただけるとありがたいです。

なお、上記はオネストの個人的な見解を含むものとなっています。すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。

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「LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義」の教えを実践してみた

今回実践するのは、生命科学者で医学博士、大阪大学大学院教授の吉森保氏の著作「LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義」<日経BP>に記載の教えです。

本書の教え

  • 生命の基本である細胞をとおして生命と病気の仕組みを知ろう細胞の機能「オートファジー」により病気を予防し、老化を食い止めよう。

本書のポイント

本書は「オートファジー」の研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞した大隈良典氏の共同研究者であった著者が、「科学的思考」の身に着け方から生物の細胞の話、細胞と病気の関係、細胞の若返り機能であるオートファジー、オートファジーと寿命を延ばす方法、まで専門家でない一般人を対象にやさしく解説した本です。

本書で記載されているポイントは以下のとおりです。

「科学的思考」とは理屈で考える、道理で考える姿勢のことです。科学とは、仮説と検証を繰り返し真実に近づける営みです。検証において、目には見えるが原因と結果ではないかもしれない関係である相関関係と、原因と結果の関係である因果関係を混同してしまう可能性があります。科学的思考にはこの相関関係と因果関係の違いを身に着けることが重要です。

すべての生命の基本は細胞です。病気は細胞がおかしくなったらかかります。細胞が死んでしまうのが細胞がおかしくなることの代表例です。これによりアルツハイマー病やウイルス感染、心不全などが発症します。

細胞がおかしくなるほかの例としては、遺伝子の変異により細胞が元気になりすぎて勝手に異常にふえてしまう、「がん」があります。

免疫(=外敵を排除すること)の方法としては、物理的に防ぐ、病原体を殺す、抗体をつけるの3つの方法があります。

細胞を自分の力で新品にするオートファジー機能

「オートファジー」は細胞の中の物を回収し、分解してリサイクルする現象のことです。その役割は次の3つになります。

  1. 飢餓状態になったとき、細胞の中の物を分解して栄養源にする
  2. 細胞の新陳代謝を行う
  3. 細胞内の有害物質を除去する

このうち3つ目の有害物質を取り除く役割によって、心不全やアルツハイマー病などのいろいろな病気が防げています。

また、本書ではオートファジーとがんの関係や美白、皮膚の老化との関係についても記載されています

さらにオートファジーの働きを上げる食品(栄養素)と逆に働きを悪くする食品も紹介されています。

オートファジーを発動させるためには、日常生活において食事を摂らない時間を4時間以上もうけます。一食抜けばオートファジーはさらに上がります。ただし、断食が長くなると筋肉がやせてしまう可能性があるので、極端な断食はやめたほうがよいです。

また、オートファジーを高めるためには運動もおすすめです。

以上のように生命科学の基礎から細胞の最先端事情までを筋道立てて一般人にわかりやすい形で解説されているので、一読しただけで内容がすんなりと頭に入ってきました。最近流行りのオートファジーですが、さすがにその権威によって記載されているだけあって説得力ある内容となっています。

さらに、最新の研究を踏まえて、じゃあどうすれば健康寿命を延ばせるのかについて実用的な説明もされているので、そういう面でもおすすめの一冊です。

やってみたこと

日々の生活の中で飢餓状態を作り出しオートファジーを活性化するために朝食を抜くことにしました(ただし、午前中にランニングを行う場合には朝食を摂ります)。

やってみてわかったこと

朝食抜きを始めてから3週間程度経過しました。

細胞レベルでオートファジーが活性化しているか否かを直接判断することはできませんが、身体に次のような変化がありました。

日常的なランニングもあいまって体重が1kg程度は減少しました。また、見た目からして大胸筋や上腕二頭筋などの上半身の筋肉が落ちているのがわかりました(上半身を含む全身の筋トレとタンパク質のさらなる摂取の必要性を感じています)。

なお、朝食抜きを始めた当初何日かは、前日の夕食から昼食までかなり時間が空くため非常に空腹になり、その反動で昼食や夕食を食べすぎて胸やけを起こしてしまいました。みなさんもプチ断食を行う際にはご注意ください。

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もし、皆さんも本書の教えを実践し効果等あった場合にはコメントいただけるとありがたいです。

なお、上記はオネストの個人的な見解を含むものとなっています。すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。

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「図解 モチベーション大百科」の教えを実践してみた

今回実践するのは、池田貴将氏の編著「図解 モチベーション大百科」<サンクチュアリ出版>に記載の教えです。

本書の教え

  • “モチベーション”とは、ある決まった法則に従って見えないところで私たちを動かしている力、この力を使いこなして人生を豊かなものにしよう

本書のポイント

本書は、行動経済学や心理学の分野における多くのモチベーションに関する実験結果に対して編著者がビジネス現場に沿う形での解釈を加えた図解がなされています。各実験は、①動機づけ、②人材育成、③目標設定、④意思決定、⑤人脈づくり、⑥自己管理、⑦発想転換、のモデルケースに分類されています。

本書で記載されている実験とその解説は、自分自身のモチベーションを生み出すものと誰かにモチベーションを生み出させるためのものがあります。

ここで、一点注意したほうが良い点として、本書ではモチベーションの定義として「ある決まった法則に従って見えないところで私たちを動かしている力」としている点です。

このため、モチベーションの一般的な意味である「意欲」や「やる気」だけではなく、「やる気はなくてもなぜかやってしまう」「無意識のうちにやってしまう」というシチュエーションもモチベーションに含めて説明されています

このため、解説されている心理・行動実験の中にはヒトの意欲ややる気とは関連せずに、ヒトを動かしてしまうような実験も散見されます。

モチベーションの法則をうまくいかす

ここでは、本書のイメージをつかむための実験を2つ例示します。

一つ目の実験例は、 心理的リアクタンスです。これは、①動機づけのモデルケースの一つです。誰かに何かを依頼したい場合、強制ではなくその人の自主性によってやってもらったほうが望む結果を得やすいという心理です。したがって、この心理を利用したい場合には、できるだけ相手に選択肢を与えてその自主性で選択させるようにするのがよいことになります。

二つ目の実験例は、③目標設定にある、行動思考です。「なぜこれをやる必要があるのか?」と行動の理由を考えていると行動が遅くなる一方、「何をしたらよいか?」を考えると具体的な行動をしやすくなる心理です。何かを行わなければならない場合、「まず何をしようか?」と具体的な手順を考えると早く動けるようになります。

これらの2個の実験のほかに本書では98個もの実験が解説されています。あわせて100個の実験。タイトルの「大百科」は伊達ではありません。このため、すべてを記憶して実践することは難しいかもしれません。

まずは自分の望む形で自分又は相手に「やる(またはやらない)」という選択をしてもらいたいときに適用できそうな実験を見つけて試していくのが良いのではないかと思います。

やってみたこと

  • モデルケース①動機づけの「心理的リアクタンス」を応用して、会社業務で業務分担を行う際に、一方的に仕事を振るのではなく、まずはその業務をやりたい人を募り、それに手を挙げた人に優先してその仕事を任せるようにしました。
  • 会社業務で仕事を割り振られた際に、その割り振りについてあれこれ思慮を巡らすかわりに、モデルケース③目標設定の「行動思考」を参考にして、すぐに具体的なToDoを整理し、その業務を開始しました。

やってみてわかったこと

  • 本書の「心理的リアクタンス」の実験結果を応用し、自分の選択を自分で決めてもらうようにしました。これにより、自律的(能動的)に業務を進めてもらうことができており、目標の達成率が以前を上回るなどパフォーマンスも良好です。
  • 「行動思考」は、要は走りながら考えることだと思います。特に昨今のように変化が激しく何が正解かわからない(課題さえわからない)状況ではPDCAを回していたのでは間に合わないので、とにかくやってみてだめなら素早く改善、修正していくというスタイルのほうが全体的なパフォーマンスも上がると思いました。
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もし、皆さんも本書の教えを実践し効果等あった場合にはコメントいただけるとありがたいです。

なお、上記はオネストの個人的な見解を含むものとなっています。すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。

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「世界のニュースを日本人は何も知らない2 – 未曽有の危機の大狂乱 -」の教えを実践してみた

今回実践するのは、谷本真由美(@May_Roma)氏の著作「世界のニュースを日本人は何も知らない2 – 未曽有の危機の大狂乱 -」<ワニブックス>に記載の教えです。

本書の教え

  • 自ら必要な情報を入手し、その情報を解釈し、それを自らの人生にいかそう

本書のポイント

本書は副題に「未曽有の危機の大狂乱」とあるように、コロナ禍における他国の驚きの状況を中心にして、海外情報にアクセスするのが難しい人々が知らない情報を提供しています。

コロナ禍における各国の対応はさまざま

コロナ対応については、マスク不要論など欧米の対策の悪い点がその文化的・政治的な背景事情とともに説明されています。

そして、それに付随して、日本人が誤って認識している事柄についても触れられています。

たとえば、コロナ禍における学校のオンライン授業に関して、操作された情報によってアメリカやイギリス、中国のほうが国全体として日本よりも進んだ取り組みを行っているような印象が与えられていたなどです。

しかし実際にはそれらの国で十分なオンライン授業が行われているのは一部のトップ校だけです。そして、イギリスでは中堅校以下はオンライン授業によるサポートがないばかりでなく、生徒はただ単に放置されているとのことです。(なお、底辺校となるとオンライン授業の問題などカヤの外。校内外で麻薬の販売が行われているなど日本と比較にならないくらいに荒れているそうです。)

コロナ以外では、欧米における格差(貧富の差)や英国王室の闇(特にヘンリー王子とメーガンの王室離脱)、欧米諸国の残念な国民性など、欧米事情を皮肉ったトピックが数多く紹介されています。

これらトピックの中でオネストが興味を持ったのは、欧米の若者に広がるFIREムーブメントの話です。FIREとはFinancial Independence(経済的独立), Retire Early(早期引退)の頭文字をとった言葉です。

これは倹約をしながら貯蓄率を高め、早期にリタイヤし、リタイヤ後は投資を活用して悠々自適に暮らすという動きで、格差拡大や雇用不安を背景に欧米にはこのような生活の実現を目指している若者が多いとのことです。このFIREの実践者は、収入から生活費や遊興費を引いて余った分を貯蓄するのではなく、給与が出たら先に決めておいた額を貯蓄に回し、残った分で生活をしています。

これは、これまで紹介した「お金の大学」の増やす力や「お金は寝かせて増やしなさい」の毎月一定額を投資に回すという考え方に似ています。同じようなムーブメントは世界中いろいろなところで起こっているんですね。

本書のタイトルには「世界のニュース」とありますが、世間に報道されているニュースだけではなく、著者が実際に体験して入手した一次情報が多く記載されており、記載内容に説得力があります。

やってみたこと

本書で世界の重要なニュースを知る方法して紹介されているものに「Khan Academy」があります。これは、米国の教育系の非営利団体が無料で公開しているオンライン学習サイトです。こちらで歴史や時事問題を扱っており、それらの背景情報を持つことが世界のニュースを知るのに役立つとのことなので、視聴してみました。

Khan Academy 英語サイト:https://www.khanacademy.org/

Khan Academy 日本語サイト:https://ja.khanacademy.org/

やってみてわかったこと

Khan Academy」の英語サイトでは数学、科学、人文学、コンピュータ、経済学など多くのコースを受講できるようになっています(残念ながらいまのところ、日本語サイトでは受講できるコースは多くありません)。

このうち、オネストは興味があったUS History(米国史)コースのビデオを視聴しました。英語での説明ですが、説明にあわせて手書きの文字やグラフィックが表示されるのでとても理解しやすかったです。このため、興味のある分野の学習とともに英語能力の向上もはかりたい人にとっては有用な手段になります。

そして、本書の教えでもある、(英語で)必要な情報を取得、解釈するために、その背景となる歴史的な知識を身に着けたり、語学力を向上させたりするにはうってつけのサイトであることがわかりました。

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もし、皆さんも本書の教えを実践し効果等あった場合にはコメントいただけるとありがたいです。

なお、上記はオネストの個人的な見解を含むものとなっています。すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。

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「不道徳な経済学──転売屋は社会に役立つ」の教えを実践してみた

今回、実践するのは、著者ウォルター・ブロック氏、訳者橘玲氏「不道徳な経済学──転売屋は社会に役立つ」<早川書房>に記載の教えです。

本書の教え

  • 不道徳なことも現実には社会に利益をもたらしている

本書のポイント

本書は、売春婦、ポン引き、女性差別主義者、麻薬密売人、シャブ中、恐喝者、ツイッタラー、ダフ屋、悪徳警官、ニセ札づくり、ホリエモン(!?)など一般的には不道徳な人とされている人々をヒーローだとしています。「えっ!なんで?」となると思います。本書の序説に『勘違いを治す「よく効く劇薬」』というタイトルでノーベル経済学賞の受賞者フリードリッヒ・フォン・ハイエクも次のように記載しています。

《まず最初に、「こんなことはとうてい信じられない!」と反発する。次いで、「いくらなんでもぶっ飛びすぎだろう」と思う。そして最後には、「まいったな。あんたが正しいよ」と納得するのだ》

物事は何を通してみるかによって見えるものが180度変わってくる

このことを本書に記載の「ダフ屋」を例をあげて説明すると、、、、

まずダフ屋とは、チケットの事前購入をしないでコンサートやイベントにやってきた人に、会場近辺で定価の何倍もの値段でチケットを売る者です。

これに対して、このような法外な値段になるのは、ダフ屋が買ったチケットを購入希望者がどんな言い値でも買うしかないまで売り惜しんできたからだと考え、そのような売り惜しみ行為を批判します。

それに対して著者はこのダフ屋に対する批判は不当だと主張します。

すなわち、ダフ屋は、通常貧しい人にチケットを並んで購入させます。そして、これ自体は貧しい人に仕事を与える行為になります。

一方で、仕事を休んだときの損害が大きいお金に余裕がある人々は、会社を休んで気軽に列を並んでチケットを購入するわけにはいきません。したがって、ダフ屋の提示額が一日分の給与額より安いならば、お金に余裕がある人がダフ屋を利用する価値があります。

このように、「ダフ屋は貧しい人に仕事を与え、多忙なお金に余裕がある人のためにチケットの購入代行をしている」ことになると説きます。

どうですか、みなさん?納得いったでしょうか?これはダフ屋の例でしたが、上述のようなその他の不道徳な人々についても擁護しています(ただし、そのような人々の行為が道徳的だとか適切だとか善行だとか主張しているわけではありません)。

このような考えの根底にあるのが「誰の権利も侵害していない者に対する権利の侵害は正当化できない」という考え(リバタリアニズム:自由原理主義)です。

このリバタリアニズムというメガネを通して不道徳な行為をみれば、その行為は社会に役立っているんだということがわかります。

これまでの経験や知見を通じて形成された自分なりのものの見方に、新たな見方が加わる、そんな一冊になっていると思います。

やってみたこと

本書の教えに沿って、この本の副題「転売屋は社会に役立つ」にも記載されている転売屋の問題を検討してみました。おそらく訳者が本書にこのような副題をつけたのも読者に転売屋の行為について考えてもらいたいからだと思われます。

転売屋とは、転売行為を行う者のことで、最近では「転売」と「バイヤー」を組み合わせた造語である「転売ヤー」と呼ばれています。転売の対象が有料チケットの場合には「ダフ屋」と呼ばれます(すなわち、ダフ屋は転売屋の一種です)。

この転売ヤーについては、コロナ禍においてマスクや消毒用アルコールを高額で転売する目的で転売ヤーによる買い占めが行われたことが社会問題として大きく取り上げられました。そして、国民生活安定緊急措置法に基づいて2020年3月15日からマスク及び消毒用アルコールの転売が規制されるようになりました(その後、政府は「供給量が一定程度改善した」として2020年8月29日に規制を解除しました)。

また、コロナ禍においては外出を控え、家の中で過ごす時間が増えることからNitendo Switch等のゲーム機も転売ヤーによる高額転売の対象となりました。このため、一部の家電量販店などは、転売目的での購入をさせないために転売防止策を設けるなどの措置を行っています。

このように社会問題として転売ヤーが取り上げられていました。

本書に記載されている「ダフ屋」を擁護する考えを「転売ヤー」に応用すると次のようになるかと思われます。

  • 転売ヤーは貧しい人々を使って転売目的の品物を購入させ、そうして購入した品物をお金に余裕がある人々に販売している

このように転売ヤーは貧しい人々に仕事を与え、お金に余裕がある人々の購入代行を行っているのであり、あとは需要と供給の関係によって転売価格が決まるだけだということになるかと思います。

コロナ禍での高額転売行為は、我々の感受性を逆なでする不道徳な行為ではあると思います。その感情的な面を脇に置き、「誰の権利も侵害していない者に対する権利の侵害は正当化できない」というリバタリアニズムのメガネを通してみると高額転売行為に対する見方も変わるのかもしれません。

やってみてわかったこと

「人は感情の生き物である」とも言われていることからもわかるように、われわれには、感受性を逆なでするような不道徳な行為についてそれをやめさせようとしたり、排除したり、軽蔑したり、目を背けたり、と不道徳な行為を否定する力が働きます。

そのような力が働く社会で、(善行でないにしても)自らのビジネスを推し進めている人々がいることを改めて実感するとともに、その行為が他人の権利を侵害する暴力を伴わないものであれば、実は社会の役に立っているかもしれないと思えるようになりました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: ロゴ.png

もし、皆さんも本書の教えを実践し効果等あった場合にはコメントいただけるとありがたいです。

なお、上記はオネストの個人的な見解を含むものとなっています。すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。

不道徳な経済学──転売屋は社会に役立つ」をアマゾンで購入